初めて手塚治虫先生にお目に掛かったのはイベント会場の楽屋でした。
「鉄腕アトム」「リボンの騎士」「ジャングル大帝レオ」とTVアニメ創世記に育った私は、もう天にも昇る気持ちで「は、初めまして、こ、こ、こやま‥」とご挨拶をしかけた途端、「何を今さら?!ハハハ」と、先生はあのちょっと高めの優しい声でお笑いになったのです。

それまでに私は「100万年地球の旅バンダーブック(
第1回24時間テレビ『愛は地球を救う』1978年放送)」と「海底超特急マリンエクスプレス(第2回同枠翌年放送)」の両作でヒロインの声を務めさせて頂いてました。

当時は先生一人で原作、作画、監督と取り組んでいらっしゃったので、私達は放送寸前の3日間をスタジオ内で待機し、届いたシーンからセリフを録って何とか放送に間に合わせる、という凄い緊張感の中で仕事をしていました。ですから「何を今さら、私達は同志でしょ」とでもおっしゃりたげにあの優しい瞳でお笑いになったのです。
なんと光栄な、なんと嬉しい瞬間だったでしょう。


特に「火の鳥」については、劇場版「火の鳥~鳳凰編(ブチ役)」やオンラインゲーム「アトム時空の果て(火の鳥役)」、そしてこのシンフォニックドラマ「火の鳥~黎明編」の初演(1979年)では「ウズメ」を、再演(1983年)では「ヒナク」を、そして今作は「ヒミコ」を演じる事になりました。

もうここまで来るとテーマが壮大なだけに確かに「ご縁がある」などという言葉では済まされないような気さえしています。


八百万(やおよろず)の神々と共に生きた時代から、個人主義の闘争社会へと移行したあの時代、ヒミコは何の為にあれほど「いのち」にしがみついたのでしょう。

――命を得ること、命を活かすこと、命をつなぐこと――

再びこの「火の鳥」の舞台に立たせて頂けることを、誇らしく、そして心から嬉しく思っています。ーーー小山茉美